双極性障害である私の症状例

双極性障害

双極性障害とは

躁うつ病という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。以前は躁うつ病と呼ばれていた病気を現在では双極症(双極性障害)と言います。この記事では双極性障害と記載していきます。

私は医者でも臨床心理士でもないため、医学的な見解などを述べることはできませんが、双極性障害者として悩んでいる症状についてお話ししたいと思います。

心の病気ではなく脳の病気

仕事で感謝されたり好きな人と会話できたりなどうれしいことがあれば気分が上がるし、お客様や上司に怒られた時にはへこんでしまう。そんな気分の上がり下がりは誰にでもあることです。

しかし双極性障害はその気分の波が激しく、時に借金をして生活が破綻するほど買い物をしたり、死にたくなる気持ちが強くなったりするなど、極端な気持ちの変化を繰り返します。

これは周囲からは「性格的な問題」として扱われてしまいがちですが、「気の持ちよう」や「意識・習慣」などで解決できるものではなく薬などによる治療が必要な脳の病気です。

うつ病とは違うのか

以前は躁うつ病と呼ばれていたこともありうつ病と似た病気と思われがちですし、私自身もうつ病の親戚ぐらいに思っていました。ですがうつ病は「うつ状態」と呼ばれる気分の激しい落ち込みや消えたい気持ちなどが改善することにより治療が完了します。それに対し双極性障害は気分のいい「躁状態」と「うつ状態」を繰り返すため、両方の症状を抑えるだけでなく再発防止に努めるため、長期的な治療が必要です。また、治療薬も異なります。

治る病気なのか

双極性障害について調べていくと、「完治するもの」と記載された文献はなく、「コントロールするもの」とされています。そのため薬などによる長期の付き合いが必要になってきます。

しかし私もそうですが、自分自身に合う薬や治療法に出会えれば、病気でない人と同じような生活を送ることができます。生活の工夫は必要ですが、克服が可能な病気です。

躁の症状と鬱の症状

私の身に起きている躁の状態と鬱の状態についてお話ししたいと思います。

躁の症状について

①収入以上の衝動買いをする

月収が14万円ほどだった時、生活費や奨学金の返済で12万円ほど使っていました。家計簿をつける能力がなかったので、貯金もありませんでした。そこに重ねて、毎月クレジットカードの支払いの項目には4万円程度の出費がありました。2万円の赤字は私の生活を徐々にむしばんでいき、リボ払いを駆使し、2つの銀行のキャッシングを利用し、最終的には消費者金融を使って、借金で借金を返しながら生活していました。

欲しいものと出会ったとき、深く考えることなく買ってしまうのですが、この衝動を止めることができません。クレジットカードを他人の管理下に置く話が出ると、私の場合癇癪が起きました。買いたいという気持ちを抑えることができない上、「抑えなければならない」という意識さえない状態で買ってしまいます。自己管理ができていないのではなく、「止められない」のです。

私自身も止められない衝動が自分の性格のせいだと思い自己嫌悪に陥っていましたが、それは薬と出会って止めることができました。今では支出以上の買い物をすることがありません。これはその人の性格の問題ではないということの証明でもあるのではないかと思っています。

本人も生活が破綻し苦しい状態になり困惑しますし、借金の肩代わりをさせられる可能性の高い身内からしたら、本当にやめてほしいと思うと思います。縁を切ることを考える人もいるかもしれません。中には数十万単位で買い物をしてしまう方もいらっしゃるため、とても深刻な問題となってしまいます。

そうなる前に、これは病気だと知って治療を始めてほしいと願います。

②サークル活動に次々と参加する

生活費もままならない状態のため、仕事を詰め込み掛け持ちもしながら週6~7で働いていた時期があります。そんな状態なのに気になるサークル活動や市民活動があると次々とメンバーとして加わろうとしていました。時には自分でイベントを開催したりもしていました。

躁状態の時は、自分がなんでもできる人間になっている気がして、また社会の役に立つ人間でありたいという衝動が抑えられず、様々な活動を始めてしまいます。各活動に以前から関わっていた方は温かく迎えてくれるのですが、本来そんな活動をしている余裕などないため、すぐにやめてしまいます。

私は活動にずっと関わっていたいという気持ちも持ち続けているため、「辞めます」と言わずに幽霊部員として居座ろうとする癖がありました。そうするとメンバーの方から不信感を抱かれてしまい、「人として最低だ」という言葉も受けたことがあります。そうやって人間関係を徐々に壊していきました。

周囲の方からしたら迷惑な話なのですが、「気になる活動をやってみたい」という衝動が抑えられません。欲しいものを買わないと気が済まない症状と似ているかもしれません。人間関係を壊して信用をなくし、自己嫌悪に陥ることもありましたが、それは私がだらしのない人間だということではなかったのです。周囲の方からの評価としてはだらしのない人間になってしまうのですが、私の場合症状は薬で抑えることができました。

私は自分のことをだらしのない人間だと評価しないようにしようと思うようにしています。自己嫌悪に陥ると鬱が酷くなるためです。これに関しては後述します。

今では、できるだけイベントやサークル活動などに関わる情報を集めないようにしながら生活しています。「気になる!」という衝動は今でもありますが、コントロールすることができるようになってきました。

③眠らなくても平気な気がする

一時睡眠時間が4時間程度のことがありました。ショートスリーパーという方もいらっしゃると知り、自分もそうなのだと思い込んでいましたが、日に日に全身の倦怠感が消えなくなり、頭痛と吐き気が止まらなくなりました。本来私の身体は休ませなければならないものだったのです。

ですが眠れないのです。眼が冴えて頭も冴えて、仕事のことや思いついたアイディア、過去に言われた傷ついた出来事などを思い出してずっと起きています。

身体は症状を訴えるので、休めたらいいのですが眠れませんし、眠らなくても平気な人間なんだと思い込んだりします。しかし寝不足であるが故のイライラやケアレスミスで周囲に迷惑をかけることもあります。私の場合、軽いものでしたが交通事故を頻繁に起こしていました。

今も眠れない日はあるのですが、睡眠導入剤を使って眠るようにしています。

できないことは薬を頼るのも手だと私は思っています。

身体に合う薬や治療法と出会える方が増えてほしいと思っています。

④怒りが強くなり癇癪が起きる

これはうつ状態だと思っていたのですが、調べてみると軽躁状態のようです。

私は前述したように、お金を使いすぎるからと言ってクレジットカードを他の人の管理下に置くと決められると癇癪が起きます。それ以外でも、喜んでもらえるはずだと思ってプレゼントを渡した相手の反応がいまいちだったり、私の説明が相手に上手く伝わっていなかったりすると癇癪が起きます。

どうして私の思うとおりにならないのか、相手のどこが悪いのか、どうして伝わらないのかなどなど、相手を罵倒しながら怒って泣きます。

普段は相手の状況を鑑みてできるだけ丁寧に、相手に気持ちよく会話してもらえるように気を配って話しているつもりです。少なくとも、怒って罵倒することはありません。

ですがこれもまた、自分では止められません。

私の場合、身内では特に癇癪が起きる頻度が高く、パートナーを罵倒することも少なくありませんでした。

普段と違う姿にパートナーは困り悲しくなったと思います。実家の家族からも、この症状を理由に疎まれていました。

また、友人に対しても過去の怒りをLINEでぶつけ、「謝ってほしい」と伝えたことがあります。案の定相手からの怒りの返信が返ってきました。そうやって人間関係を壊していきました。

鬱の症状について

①はじまりは倦怠感から

仕事が忙しくて疲れが溜まったり体調が悪くてだるさが続いたりすることは多くの人にあると思います。実際、私がうつの手前だと感じた倦怠感と疲れが溜まった時の倦怠感はほとんど一緒な気がしました。ただ、疲れが溜まった時の倦怠感は眠ることで解消できたり、一時的であれば栄養ドリンクなどを飲むことで回避できます。

しかし、うつの手前の倦怠感は休んでも解消しませんでした。毎日疲れが取れなくて、動きたくなくて、ほんの一瞬元気になれるからと栄養ドリンクを飲んでいました。動きたくない気持ちは、みぞおちあたりがとても重くなる感覚とともにやってきて、酷いときにはトイレに行くのがやっとでした。

そして布団から出られなくなり、食事をとることもままならなくなっていきました。

②すべて自分が悪いと感じる

過去に言われた酷い言葉やいじめ、理不尽な扱いなどはなにか原因やきっかけがあったとしても、そういった行為をした方にも十分非があると今では思っています。しかしうつの症状が出てくると、すべての原因が自分にあるかのように感じ、自分を責めはじめます。

いじめられる原因は自分にあった、相手に嫌な思いをさせたから酷いことを言われたんだ、パートナーが仕事で悩んでいるのは自分が病気のせいだからだ、など。

トラブルがあった時、どちらかだけが悪いなんていうことはないと思っています。どちらにも何かしら不具合があってのトラブルだと思っています。自分のせいにしすぎてはいけないし、相手のせいにしてもいけないと考えています。

ただ、そう考えることができなくなってしまうのです。全ては私が存在していることが悪いと自動的に考えてしまいます。これも止められない症状の一つですね。

③消えたい気持ちが強くなる

これはうつ状態としてよく聞くものだと思います。

もうこの世に居たくない、全ての元凶である私はいなくなった方がいいんだ、消えてみんなの記憶から抹消されたい…そんな風に思いながら過ごす日が何日も続きます。それを実行に移したくて、ものすごい集中力で検索しまくります。そうしているうちに躁状態になり、実際に行動してしまう人もいらっしゃいます。

これはとても危険な状態なのですが、本人としては既にたくさんのSOS(癇癪や買い物、動けないことなど)を周囲に発信してきたつもりなので、誰も助けてくれない、私のことを大事に思ってくれる人なんて誰もいないと感じて悪化していきます。

SNSで発信しても、友達に相談しても、うっとおしがられたりヤンデレ扱いされたりしてしまうことも多くあります。

もしご自身がこの状態であれば思いとどまってほしいですし、身近に落ち込んでいる方がいらっしゃれば、可能な範囲で構いませんので消えたいという気持ちを聞いてあげてほしいと思います。

おわりに

以上が私の身に起きていた症状です。細かなものはまだあるので、別で記事にできたらと思います。

双極性障害で悩んでいるご本人や、身近な人の言動で困っている方の参考になれたら嬉しいです。

「普段の私・〇〇さんはそういう人じゃないよね?」という信頼が病気を見つけるきっかけになるのではないかと思っています。いつもの私ならこんなことしないと思える行動があれば、病気かもしれないと疑ってみるという選択肢を持ってほしいと思っています。身近な方の言動で困った時、「この人がこんなこと言うはずがない」と思う隙間をどうか残しておいてほしいと思っています。

自己肯定感は無理に高める必要はありませんが、自分は酷い人間なんかじゃないという気持ちをどこかに持ち続けていて欲しいと願っています。

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